先日、アトリエもももさん主催の2回目アートサポート講座、
「アートは日常の中にある」~“好き”から広げる表現の可能性とサポートについて~
に、参加してきました。
アトリエももも の鈴木真知子さんを講師にお話しを伺いました。
鈴木さんがアートサポートをするうえで気をつけているポイントは、
・待つ ・・・本人がやりたい気持ちになるのを待つ
・寄り添う ・・・手を出し過ぎない、先回りしない
・任せる ・・・本人がやりたいようにやってもらう
・整える ・・・その人に合った環境、空間に整える
・カテゴライズしない・見限らない事 ・・・この人はこうだから!といった枠にはめて考えない
・変化の種に気づくこと ・・・昨日と今日の違いとか、そのうち急に超えてくる瞬間に出会える時がある
などなど…
その他とても印象に残ったのは、「平等」と「公平」の違いが描かれたこのイラストです。
(出典:Interaction Institute for Social Change | Artist: Angus Maguire)
このイラストは左側が平等(Equality)、右側が公平(Equity)を表しています。
私は初めて見たのですが、とても分かりやすい絵だなあと思いました。
絵から解釈するに、
左側の絵、平等だと
子どもや背の低い人は壁の向こうが見えずに楽しめません。
右側の絵、公平は
みんなの差異を考慮して
目の前にある障壁に対して、みんなが楽しめるようにしています。
平等にするのは単純で分かりやすいかもしれないけれど、
平等に分けるだけでは、いつまで経っても楽しめない人が出てきてしまいます。
福祉で大切にしている考えは、「公平」です。
おたがいの差異を考慮しあいながら、思いやりの気持ちを大切にしあえる社会になっていけるよう
公平の考え方も、もっと広がっていくと良いなあと思いました。
その他にも、アートサポートを実践的に体を動かして体験できるようなお勉強もしました。
2人1組のペアを7組ほど作り、
1人はアートサポートされる側、もう1人はアートサポートする側に分かれます。
サポートされる人は、事前に自分にどんな障がいや困りごとがあるか、くじ引きで設定を決めておきます。
サポートする側はその設定を知らないまま、
部屋にあるアート道具をどれでも自由に使って、20分間アートを楽んでもらえるようにサポートしていきます。
わたしは最初に、アートサポートをする側を体験しました。
お部屋に入ると、ペアの人がアイマスクをつけていました。
それで、視覚に障がいがある方なのだろう…と気がつきました。
目の見えない方は、どんなアート道具楽しめるんだろう?
どんな声がけをしたら良いんだろう??
分からなかったので、色々質問してみました。
わたし:「普段お家で何か、アートなことをされていますか?」
お返事:「特にやっていません」
わたし:「何かやってみたいものはありますか?」
お返事:「どんな道具がありますか?」
手触りの感触を楽しめる道具の方が良いかもしれない?と思い、
「色んな種類の紙や毛糸とかあります。いかがですか?」と聞くと、
「紙を使ってみたいです」とお返事が返ってきました。
いろいろな紙を一枚ずつ手渡すと、ペアの方は薄い紙をちぎって丸め
花びらのように組み合わせ始めました。
「それはうすいピンク色です。すごくキレイですよ」と私は言ったのですが、
色の説明をすることで悲しい気持ちにさせてしまったりするのかなあ…?と、心配になりました。
ペアの方にセロテープを渡して花びらをまとめている途中で、花びらがバラバラに崩れてしまいました。
ご自分でやってみたいと思っているところなのか、
サポートを必要としているところなのか、分からないまま手渡してしまったので
セロテープを手渡す前に、もっと質問してみれば良かったなあと思いました。
20分後には交代して、
今度は私がサポートを受ける側になって、アイマスクを付けました。
自分がサポートされる側を体験してみて嬉しかったことは
・紙以外にも、粘土を選ばせてもらえたこと
・粘土の手触りが柔らかくて、気持ちが良かったこと
・ちぎって、まるめて、つなげる作業に自由を感じて、ワクワクしたこと
・手の感触だけでどんな作品が出来ているのかよく分からなかったけれど、
私が粘土をこねてつなぎ合わせていく様子を見ながら、ペアの方が
「コロコロして、すっごく可愛いです!ユニークで素敵!」など
私の制作を褒めてもらえたのがとても嬉しかった。
・隣で見守ってくれている感じが温かくて、有難かった
あとから気がついた反省点は、
・制作後、帰る途中で粘土作品が崩れてしまったので
持ち帰る時の工夫まで考えられると良いのかもしれない
など、
サポートする側、される側両方を体験して色々な気づきがありました。
障がいのある方にどう言葉がけしたらよいか分からない…
失礼なことを言ってしまったらどうしよう…
と、サポートする側はすごく考えてしまうけれど、
サポートされる側にとっては、言葉がけ一つ一つの正解・不正解よりも
人との会話を楽しんだり、
道具に手を振れて自由に手を動かすこと(アート)を楽しんでいるのではないかと思いました。
講座の最後には、参加した全ペアの疑問や感想を共有しあい
講師の鈴木さんからアドバイスももらえました。
初めての体験でドキドキしてしまったけれど、
優しく温かい気持ちをもらえた、学び深い講座でした。
【写真紹介】
8/7(日)は子供と一緒に、「アトリエももも」に参加してきました。
夏休み中だったので、小学生の子どもたちがたくさん来ていて息子も喜んでいました。
息子はお菓子の「ミンティア」が2つ入るケースを作りました。
私は直接指に絵の具をつけて、思いのままに絵を描きました。
今まで筆を使ってしか描いたことがなかったので、一回やってみたかったのですが
指で塗るのはベチョベチョして、とても気持ち良かったです。
子どもたちとのおしゃべりも楽しくて、あっという間の2時間でした。