(闇うさぎ)
~第3章~
第84話:あやつを止めとくれ!
?!!!
えっ…
いつの間にこんなに、水かさが増したのよ?!
オレは手足をバタつかせ、体を浮かせた。
おい!そこの雨雲っ
足つかねえし!
さっさと、雨を止めてくれっ
オレが叫ぶと、
雨雲はぎょろりとした目でオレを見た。
オレを無視して、雨雲は桃の種達に聞いた。
『どうするごんすか。
雨は、おしまいでごんすか?』
桃の種達は、一斉にオレを見た。
『ご…ご主人たま?!』
『大変だ!溺れてるっ』
『えっ…溺れてる?』』
『あまぐもたん!おしまいでとぅ!
おしまいにしてくだたいっ』
『ご主人たま!つかまってくただい』
『ボクにも!』
『わたしにも!』
桃の種達はオレのまわりに集まると、
体がぶつかり、カチカチ鳴った。
『それでは、これで』
!!!!!
雨雲はうなずくと、体をふるわせて雨を止めた。
#カチッ
エレベーターみたいなドアが開いた。
!! !! !!
溜まった水が、
吸い込まれるようにドアの外へ流れ…
桃の種達も流され、いくつも消えていった。
?!!
体が、何かにぶつかった。
えっ…
オレだけ流れねえ…?
!! !!
ドアもねえのに…どういうことだ??
まるで、見えない壁にぶつかっているみたいだった。
『うゎ~』
『ご主人たま~』
『お元気で~!』
オレは両手両足で、つかんだ桃の種にしがみついた。
『くそっ!
手を離してたまるかよっ
これは、オレの種だから!!!』