(闇うさぎ)
~第3章~
第82話:誰が持って行こうか。
!!!!!!
エレベーターみたいなドアが開いた。
『お呼びでごんすか』
灰色のずんぐり雲が、もくもくしながらやってきた。
『あまぐもた~ん!』
『あまぐもたんだぁ!』
!! !!
桃の種達は、身体をあわせて喜んだ。
『あまぐもたん』
『こころの畑に、雨粒くだたい』
『いっぱい、くだたい』
そう言うと、桃の種達は
嬉しそうに床に寝転がり、一斉にあまぐもを見上げた。
『おやすい御用でごんす』
あまぐもは、ふるふる からだを震わせ
桃の種達のうえに、やさしく雨を降らせた。
!!!!!
『雨だ!』
『雨だ~』
桃の種達は、気持ちよさそうに目を閉じた。
!!
#やべえっ
#靴下が濡れちまう
オレは靴下をひきぬいて、ギターケースにいれた。
『雨だ』
『気持ちいいね~』
『そうでごんすか。それは良かった』
あまぐもは、雨を降らしつづけた。
うわっ!すげえなこりゃあ!
水がたまってく!
部屋中が水だまりじゃねえかっ
!! !!
オレは足で、雨水を蹴ってあそんだ。
雨は降り続き、足元にどんどん水がたまった。
しばらくすると、膝下のあたりまで水かさが増した。
!! !!
桃の種達は水に浮かび
プカプカ、からだを動かした。
!!! !!!
オレが足で水を踏むと、波が立った。
桃の種達は、波に揺られて喜んだ。
だからオレは、桃の種達をもっと喜ばしてやろうと
バシャバシャと、水の中でジャンプした。
大きな波が立ち、
種のからだが、水の中でくるりとまわった。
オレは楽しくなって、
部屋の中をかけずりまわった。
オメエら、知ってるか!!
これが、流れるプールだぜ!!!!