(闇うさぎ)
~第3章~
第76話:不思議だなあ。
オレの前に、デカい桃が置いてあった。
??!
なんだ、これは…?
!!
オレのか?!
オレが考えていると、
じじいが桃を持ちあげた。
!!!!!
ちょっと待て!!
それは、オレの桃じゃねえのか?!!!
『そうじゃ。これは、おぬしの桃じゃ』
じじいは笑って、桃をオレに手渡した。
『いよいよ修行にいくからの。
おぬしは桃を食べて、
カラダの傷を治しておくがよい』
!!!
オレは驚いた。
このじじい…どんだけお人好しだ?!
オレ、また違う願いごとに
桃を使っちまうかもしれねえぜ???
さっきだって、
桃を別の願いごとに使っちまったばかりじゃねえか!
『二度とおめえには、桃を食わせねえっ!』って
怒って、怒鳴って!
ここは、お仕置きキックが飛びだすとこだろうに?!
このじじい、頭わりぃのか…?!!
オレの心の中を読むように、
じじいは、ふぉっふぉと笑った。
『おぬしは面白い奴じゃのう。
わしは、おぬしと一緒に
修行に行くのが楽しみなんじゃ。
さっさと桃を食べて、傷を治すがよい。
そんなカラダじゃあ、修行にならんからの』
!!!!!
やった…!
チャンスじゃねえか!!
今度こそ!
すっげえ願いごとにしてやるぜっ!!!
オレは猛烈な勢いで、脳みそを回転させた。
いぬの野郎がやってたみてえに、
傷に手をあてて、
何度も自分で傷を直せるカラダにしてもらうか!!!
!!
いやっ、
それじゃあ、いぬの野郎に勝てねえか!
これから修行に行くんだし、修行に怪我はつきものだろ?
もっと、体中の傷という傷が一瞬で治せる
パ~ッと派手な技が良いのだが…
!!!
それならいっそ!
最初から傷つかない体にしてもらうか!!!
痛みさえ感じない、無敵の男うさぎ…!!!!
#うわっ
#すげえいいっ
考えていると、
じじいがオレの顔を覗き込んだ。
『痛みを感じぬ、カラダじゃと?!
そんなカラダになったら、
おぬし、どれほどの体力を奪われると思っておる!
すぐに疲れて、修行どころではなくなるじょ!
良からぬことを考えておらんで、さっさと桃を食べるのじゃ。
良いか!
願いごとは、「この傷を治してください」じゃぞ!』
!!!!
体力を奪われる??!
#しまった
#そいつは考えてなかったぜ
じじいが腕組みをして、
オレが食べるのを待っていた。
うーむ、どうするか…
!!
よし!
食べながら考えるか!!!
食べ始めたら、
じじいにだって止められねえし!
フフッ
!!!!!!!
オレは桃にかぶりついた。