(闇うさぎ)~第3章~第49話:オレは優しいかんな!

短編つぶやき小説

(闇うさぎ)
~第3章~

49話:オレは優しいかんな!


 

オレは、自分の目を疑った。

 

いぬの両手をあてた部分が、赤く光りだし…

ピンク色の腹から、少しずつ毛が生えてきた。

 

すげえな…こりゃ!

傷も小さくなったんじゃねえ?!

こいつの手、どうなってるんだ?!

 

オレは腕組みをし、いぬの手を見つめた。

 

・・・。

 

#ツンッ

#ツンツンッ

 

!!

いぬの肉球は、デカくて硬かった。

 

!!!!!

オレだって、負けてねえし!

 

!! !!

オレはいぬに、両手の肉球を見せてやった。

 

いぬは、プイっと向こうを向いた。

 

#ハァハァ

#ハァハァ

 

いぬの息づかいが早かった。

 

!!

#クソッ

せっかくオレが、見せてやろうってのに!!

 

・・・。

 

まあ、しょうがねえか

こいつは今、腹が痛えのだから…

 

#また今度

#見せてやるわ

 

オレは、いぬを見守った。

 

・・・。

 

見ているうちに

オレの傷もズキズキと痛みだした。

 

?!!

 

!! !!

両ひざから、血が出ていた。

 

!! !!

両ひじから、血が出ていた。

 

そして、背中からの鈍い痛み…

 

!!!

クソッ、背中が痛え..

 

!! !! !! !! !!

背中を見ようとしたが、見えなかった。

 

?!!!!

#オレの背中っ

どうなってるのよ?!!

 

オレは、いぬに声をかけた。

が、

いぬは向こうを向いたまま、ピクリとも動かない。

 

!!!!!!

 

おめえ!!

大丈夫か??!

 

?!!

 

顔を覗き込むと、

いぬは目を閉じ、スースーと寝息を立てていた。

 

こいつ…

寝てやがるのか

 

オレは迷った。

 

#背中を見せてやるか

#寝かせてやるか

 

!!!

#クソッ

 

!!!!!!

 

オレは男の中の男うさぎ!!!

こんな傷では、泣いたりしないのだっ

オレは優しいかんな!

 

オレは、いぬを見守った。

 

赤い光がいぬの胸と腹を包み込み

いつのまにか、血の滲んだ傷跡が消えていた。

 

寝ながら治せるなんて、どんだけ便利な技なんだ…!

#オレは感心した

 

・・・。

 

そして段々と、生えたばかりのうぶ毛で

ピンク色の素肌が隠れてきた。

 

!!!!!!

よしっ

もういいだろうっ

 

!! !!

 

オレは、いぬの両手を持ち上げ

 

!! !!

 

オレの両ひざに、いぬの手を当てた。

 


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