(闇うさぎ)
~第3章~
第41話:オレは桃にしがみついた。
#シュタタタタタッ
!~!~~!~~!!!~~~!~~~!~~~!!!!!
(うさぎくんっ…)
(オレに食べてくれって、言ってくれっ!!!!!)
オレは、
うさぎくんとじじいの間に跳びこんだ。
いったい、どうしたというんだ!
何か、揉めごとか?!!
(桃…!)
(オレだったら、食えるけど!!)
うさぎくんは、
大切そうに桃を抱えながら言った。
『だって…!
おじいさんが、もったいないんだ!』
ほう!
じじいは、桃を食わねえって??
!!!!!!!
オレは、力一杯手をあげた。
(はいっ!)
(オレは、食べられるぜ!!)
そしてその手を、
さりげなくじじいに向けた。
じじいは、食べないのか?!!
(じじい!)
(今こそ…)
(オレの心を読んでくれっ)
うさぎくんは、オレの後ろを指さした。
?!!
うさぎくんが指さした先には、
かじりかけの桃が
地面にゴロゴロと転がっていた…
?!!
なんだ、この桃は??
桃を見ると、かじった跡があった…
??!
こ…これは??
!! !!
うさぎくんは、涙をぬぐった。
『おじいさんが、もったいないんだ!
ボクだったら、そんなことしないのに…!!』
ハッ?!
どういうことよ?
・・・。
!!
その時、心の中に
じじいの声が聞こえてきた。
『闇うさぎよ。
わしから説明してやろう。
これは桃を安全に管理するために、必要なことなのじゃ』
?!!!
#なにぃぃぃいいっ
盗難防止用に、
食べかけの桃をわざと置いておく?!!
で…
じじいっ!
おめえが、ここに転がってる桃
全部つまみ食いしたわけか?!!!
・・・。
オレは、沸々と怒りがこみ上げてきた…
じじい!!!!!
おめえ、どういうことよ!!!
オレには桃を食わせねえくせにっ
おめえ!!!
自分だけ、いい思いしやがってっ!!!
じじいは言った。
『闇うさぎよ!
おぬしはまだ、闇が深いからのう。
本物の桃は、修行のあとじゃ!
じゃが、
食べかけの桃なら
べつに食べてもかまわんじょ。
桃の効果はないのじゃから』
!!!!
#えっ
食べても良いのっ?!!
・・・。
それにしたって…
この、クソジジイッ!!!
こんな貴重な桃を、
6個もつまみ食いするなんて!!!!
もったいないにもほどがあるっ!!!!
オレはむしゃくしゃして
地面に転がっている桃に、むしゃぶりついた!
しょうがねえな!!!!
だったら、この桃!
全部、オレがもらってやるわっ
#モグモグッ
#モグモグモグッ
!!
う…!
うまいっ…!!!!
やっぱり、うますぎるっ!!!!
オレは黙々と桃をかじった。
#モグモグッ
#モグモグモグッ
しかしながら、
桃を一個食べている途中で
オレの腹はいっぱいになった…
クソッ…
この腹めっ
もっと、入りやがれっ
!!
!!
!!
オレは、自分の腹にチョップした。
!!
!!
!!
#クソッ
#クソクソッ
もっと食わんといかんのにっ…!!!!
オレの桃は、誰にもやらんからっ
あとで腹が減るまで、
ここで、誰にも触らせねえからっ
#ギュギュッ
オレは桃にしがみついた。
その時だった。
いぬの野郎がトコトコとやってきて、オレに言った。
『ワンワン ワン! ワンワン ワン!』
いぬの言葉を、じじいが通訳した。
『こんなにたくさんじゃ、もったいないから
知り合いの動物たちに
あげに行ってくると言っておるじょ。
いぬよ!
盗難防止のためにも
少なくとも、かならず二個は
畑に残しておくのじゃぞ』
#なにぃぃぃいいいっ
これは、オレの桃なのにっ!!!!
いぬが、オレに言った。
『ワンワン! ワンワン!』
『闇うさぎも一緒に行くかと聞いておるが?』
!!!
なんでオレが?!!
『うさぎはまだ、しばらく時間がかかりそうだ。
ただ待ってるだけじゃ暇だろう。
それに、
ここに一緒にきたキミの友達も、
もしかして、
桃をもらいにくるかもしれないと言っておるが』
?!!
一緒にきた友達??!
じじいは笑った。
『ふぉっふぉっふぉ。
あの、デカいモルモットじゃな』