(闇うさぎ)
~第3章~
第32話:ボク、今なら分かるよ…
オレが、開いたノートを渡してやると
うさぎくんは、
バカでかい字で名前を書き出した。
うさぎのつぶやき
!!!
これがまた!
汚ねえのなんのって!!
『ぶ』なんか、濁点がデカすぎてバランスがひどすぎるっ!!!
学校なんかで書きやがったら
すぐに消して、書き直しさせられるだろう!!
#ウンウン
!!!!!
それにしてもだ…
さっきから
オレの思ってる言葉が、
なぜか、口から出てこねえ…
オレ、しゃべってるはずだよな?!!
!!!!!!
#じじいめっ
オレの口に、何かしやがったか??
オレはじじいを睨みつけた。
うさぎくんに、じじいは言った。
『大きくて、なかなか良い字じゃのう』
!!!!!!
どこが、良い字だっつーの?!
オレの字の方が、数億倍上手いからっ!!!
見せてやろうじゃねえかっ
この、書道3級の腕前をっ!!!!
オレはうさぎくんから、ペンを取り返そうとした。
!! !! !!
が、
金縛りにあったように、指一本動かない…
その時、心の中にじじいの声が聞こえた。
『闇うさぎよ。
おぬしは、そこでじっと聞いておれ。
これも修行じゃ!
よく見て、よく聞くことは
観察眼を養う、とても良い修行になるからのう。
おぬしはうさぎが好きなのじゃろ?
だったら、よ〜く見ておくのじゃ。
うさぎの顔を!』
ハッ??
うさぎくんの顔?!!
うさぎくんは
またもや地面の一点を見つめ、
ぴくりとも動かなかった…
が…
ほほえみながら、
目にいっぱい涙をためていた。