(闇うさぎ)
~第3章~
第29話:ちと、覗いてみるかのう。
#サラサラ
#サラサラサラ
!!
よし!
これで、バッチリだ!
#うむっ
我ながら、
分かりやすく書けたと思う…
じじいの説明が終わり、
オレはメモを書きまとめ、ペンを置いた。
どうよ!うさぎくん?!
説明は、分かったか??
???
うさぎくんに声をかけたが、返事がない…
どうした? うさぎくん??
うさぎくんは
地面の一点を見つめ、
ぴくりとも動かなかった…
#うーむ
#またか
色々、考えちまってるようだな。
じじいが、オレに聞いた。
『こやつは、いつもこうなのか?』
!!!
まあよ!
いつもって訳じゃあないが、
たまにこうなるんだ。
待ってりゃあ、そのうち元に戻るからよ!
『ふぉっふぉっふぉ。
うさぎも、面白いやつじゃ。
何を考えておるか、
ちと、覗いてみるかのう』
じじいは、そう言うと
うさぎくんに近づき
静かに3回ずつ、息を吹きかけた。
#ふぅふぅふぅ
#ふぅふぅふぅ
#ふぅふぅふぅ
じじいは、笑った。
『こやつの頭の中は、実に鮮明で面白い。
ことばではなく、
頭の中で、映画のように映像が動いておる。
きっと、こやつは
映像をしっかり焼き付けてから、行動するタイプじゃな。
このタイプは、
行動するまでには時間はかかるが、
映像をヒントに
目的にたどり着くことが出来る、持続型じゃの』
!!!
で、うさぎくんは、何を考えてたんだ??
『楽しく、イメージトレーニングをしておったわ。
こやつの生みだすイメージは、単純で面白いのう』
じじいは、ニヤリと笑うと
オレにも息を吹きかけようとした。
『おぬしは、どんなタイプかのう??』
#ふぅふぅふぅ
!!!!!!
おい、じじい!
くせぇって言ってんだろ!
やめろよっ!!!!!
!! !! !!
オレは、張り手をくらわそうとしたが
じじいの野郎、簡単によけやがった。
じじいは、オレの両肩をつかみ
また、息を吹きかけた。
#ふぅふぅふぅ
#ふぅふぅふぅ
『ふぉっふぉっふぉ。
やっぱり、そうか!
闇うさぎ、
おぬしは、想像力をエネルギーに変える単発型じゃの。
想像力の一発一発には、ばく大なエネルギーを持つが
持続するのがむずかしい。
じゃが、発せられたエネルギーは
すぐには、消えてなくならない。
!!!
そうか…! だからじゃな!
おぬしは、じゃから
ことばを書くのが得意なのだろう!
自分だけではエネルギーを持続することはできないが、
消える前に、
エネルギーを誰かに伝えることで、役立てることも出来る。
文字を書く技術など、最善の方法ではないかっ!!!』
それから、じじいは
もったいつけるように、オレに言った。
『よいか、闇うさぎ。
生き物のカラダにはのう…
生まれながらにして
生き延びていくために必要な
最善の能力が、もともと、そなえられておるのじゃ。
それは、死ぬまで消えない。
消えないのじゃがのう…
必要に応じて、隠したり、忘れられたりする。
時によっては、死ぬまでな』