(うさぎ)~第3章~第82話:誰が持って行こうか。

短編つぶやき小説

(うさぎ)
~第3章~

第82話:誰が持って行こうか。


 

!!!

おじいさんが立ちあがった。

 

『そうじゃ、忘れておったわい。

モルモット娘に 桃をやるんじゃった』

 

おじいさんはそう言うと、頭をひねった。

 

『はて、どうしようかの。

桃を誰が持って行こうか。

 

わしはのう

闇うさぎが嫌がらなければ

こやつに桃を持って行かせようかと、思っていたのじゃ。

修行の前じゃし、

こやつらの恋路の最後でもあるじゃろう?

最後にビシッと桃を渡して、

気持ちよく修行をスタートさせられれば良いと思ったんじゃが』

 

!!

 

・・・。

 

みんなで、闇うさぎくんの寝顔を見つめた。

 

闇うさぎくんは、笑っているみたいだった。

 

おじいさんは、

うーむ…と考えて、腕組みをした。

 

『やっぱりのう。

これはこやつの人生で、重要なシーンじゃ。

急いで闇うさぎを起こして、

こやつの気持ちを聞いてみようではないか。

持って行くのは、それからが良いじゃろう』

 

おじいさんは、いぬくんに言った。

 

『いぬよ。モルモット娘に少し待つように伝えてくれぬか』

 

!!!

 

いぬくんはガバッと立ち上がり、窓を開けた。

 

それから高く空を見上げ、遠吠えを繰り返した。

 

『こちらは今ゥン、取込み中ゥゥン!!!

桃を届けるのは、もゥンちょっとォォン…待つよゥオンに!!!』

 

 


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