(うさぎ)~第3章~第40話:オレは、桃の行く末を見守った。

短編つぶやき小説

(うさぎ)
~第3章~

40話:オレは、桃の行く末を見守った。


 

闇うさぎくん!

良かったら、キミ食べる??

 

闇うさぎくんに桃を渡そうとすると、

闇うさぎくんは首を振った。

 

『オレはまだ、桃食っちゃいけねえし!』

#えっ

#どうして??

 

『おめえ!

どんだけじじいの話し、聞いてねえわけよっ?!

じじいが言ってただろ?

オレが桃を食べられるのは、修行のあとだって!!』

#えっ

#えっ

#でもでも

#こんなに美味しいのにっ

 

・・・。

 

じゃあ、いぬくん食べる??

 

いぬくんも、首を振った。

そして口に両手を当て、ウォンと鳴いた。

 

!!

そうか。

いぬくんは、お口が痛いんだもんね。

 

だったら、ちょっと待ってて!

ボク!おじいさんにも聞いてくるね!!

 

#ピョンコピョンコ

 

ボクは、遠くの方でしゃがんでいる

おじいさんのところに跳んでいった。

 

おじいさん!おじいさん!

この桃、食べますか??

この桃、すっごく美味しいから!!!!

 

おじいさんは首を振った。

『わしはさっき、

味見をしたばかりでのう。

すっかり、もう満腹じゃ』

 

?!!

えっ…味見??

 

おじいさんは、地面を指さした。

 

!!

かじりかけの桃が、

地面にゴロゴロと転がっていた…

 

!!!!!!

ぇぇえええっ?!

こんなにぃぃいっ??

 

#いち

#にぃ

#さん

#よん

#ごぉ

#ろく

 

!!!!!

6個も?!!!!

 

ボクはとてもビックリした。

 

おじいさんは言った。

 

『この桃は、

盗難防止用のカモフラージュでの。

本物の桃を盗まれんように、わざと置いておくのじゃ。

盗人がこれを食べている間に、捕まえれば良いじゃろう?

 

それに、この桃は大きいから

一個食べればお腹いっぱいになって、

埋まっとる桃は、取られる危険が少なくなるからのう』

 

!! !! !!

ボクは首を振った。

 

ボクだったら…!

ボクだったら…!!

ボクだったら…!!!

こんなにもったいない食べ方はしませんっっ!!!!

 

おじいさんっ!!!

桃の命を、大事に大事に…

大事に食べなきゃいけないでしょう?!!!

 

この桃ひとつで、ボク達が…

何日生きられると思ってるんですか??!

 

ボクだったら、

かじった後は全部、加工して保存します!!!!

 

塩水につければ、色だって変わらないし!

お砂糖と一緒に煮込めば、桃のジャムだってできるじゃないですか!!

天日干しにすれば、

桃のドライフルーツにだってなりますよねっ?!!

桃を切って、冷凍庫に入れるだけで

どれほど美味しい桃シャーベットが出来ると思ってるんですか!!!

 

食べかけのまま、畑に転がすなんて

いっちばん…

いっちばん、やっちゃいけないっ!!!

もう…信じられないっ

信じられませんっっ!!!!!!

 

#ボクは涙が出てきた

 

『そうかもしれんが…

うさぎ、

おぬしは

ばあさんみたいなことを言うのう…

 

ばあさんも

いつも、わしに説教しておった。

 

もったいない…

もったいないってのう…

 

じゃがのう、うさぎ。

これには理由があって、仕方のないことなのじゃ。

 

最近、畑に

見慣れない足跡がついておってのう。

おかしなやつらに、

この桃を食べられては危険じゃろ?

この桃を栽培すると言うことは、

そういう危険と隣り合わせなわけで…』

 

!~!~~!~~!!!~~~!~~~!~~~!!!!!

#シュタタタタタッ

 

その時…

闇うさぎくんが走り込んでやってきた。

 


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