(うさぎ)
~第3章~
第36話:ウォウォン ウォ ウォン!!!
#ぬりぬり
ボクは、口のまわりに
ドクダミ軟膏をたっぷりと塗ってあげた。
#これで大丈夫
#きっと良くなるよ
?!!
あれ?
ボクたち、なんの話しをしてたっけ?
!!!!
そうだ!
始まりの合図を決めるんだった!
じゃあ、ボク
挨拶からもう一度やってみるね。
ボクはいぬくんに挨拶をした。
こんにちは!
ボク、うさぎのつぶやきです。
ボクね!キミと話しがしたいんだ!!
キミの言葉が、ボクにも分かるようになればいいのにな…
!!!
#うん
#やっぱり
#合図はこれだな
『ボクね!キミと話しがしたいんだ!』
#あっ
#でもあれかっ
『キミと話しがしたいんだ!』だけの方が良いか…
#うーん
#迷っちゃうな
#ゲホッ
#ゲホゲホッ
いぬくんは咳き込みながら、手で顔を洗い始めた。
?!!
いぬくん、大丈夫?
!!
#あっ
そんなにこすったら、
ドクダミ軟膏が広がっちゃうよっ
目に入ったら、大変だ!
!! !! !!
いぬくんは、
後ろ足で顔を掻きまくった。
#あっ
#あっ
#あっ
!!!!!!!
『ウォウォン ウォ ウォン!!!』
その時…いぬくんが大声で吠えた。
?!!
いぬくん!大丈夫?!
ごめんよ…ボク、薬を塗りすぎちゃったかなあ…
と思った瞬間…
いぬくんがブルブルと大きく身震いした。
?!
#冷たいっ
ボクの方にどこからか、水しぶきがたくさん飛んできた。
?!
あれ?雨っ??
空を見たが、晴れていた。
??!
いつの間にか、
いぬくんの顔と体がびしょびしょに濡れていた…
あれっ…??
よく見ると、
いぬくんの口のまわりにたっぷり塗ったはずのドクダミ軟膏も、
跡形もなく消えていた…
!!!!!
ボクは、とても驚いた。
キミ!いつの間に取ったの??
?!!
あっそうかっ
軟膏が目に入って、
痛くて泣いちゃった?!!
そうか!
それで、びしょびしょなのか!!
軟膏を洗い流すほど
たくさん涙が出ちゃうなんて…
ごめんね、それは痛かったね…
ボクはいぬくんに謝った。
いぬくんは、スタスタと歩いて
置いてあった桃をボクに渡してくれた。
#ウォンッ
#ウォンウォンッ
『いぬのやつ、
話しは桃を食べてからしようと言っておるぞ』
#そうか
#だったらボク
#早く決めないとっ
ボクは、急いで合図を決めた。
おじいさん!
ボク、始まりの合図が決まりました!
始まりの合図は、
『キミと話しがしたいんだ!』で、お願いします!!!!
ボク、早くいぬくんと話しがしたいんです!!!
もうボク、桃を食べてもいいですか??!