(うさぎ)
~第3章~
第4話:出ない言葉と…読みとる息。
ボクは勇気をふりしぼり、
声にだして言った。
『闇うさぎくんは
ボクの大事な友達で、
具合が悪くって、ぐったりしてて…
だから、大丈夫じゃないです…
助けてください…!!』
おじいさんは
ふぉふぉっと笑うと、
大きく息を吸いこんだ。
フゥゥ…フゥゥ…フゥゥゥゥゥ…
#ボクの顔に
#3回息を吹きかけた
!!!
(何するんだ…)
(やめてよ…!)
(離してよ…!!)
こころの中で叫んだが、
こわくて、ことばが出ない。
『大丈夫…もう少しじゃ。
うむ、見える…
見えるじょ、キミの心の中が…』
!!
見えるの!?
『キミは、こわいと思ってる』
!!!
#すごい
#当たってる
ボクがびっくりしていると、
おじいさんは、もう三回
顔に息をふきかけた。
フゥゥ…フゥゥ…フゥゥゥゥゥ…
『ふぉっふぉっ…
見える…見えるじょ…
キミは…
やめて欲しいと思ってる…
わしの手を離れたいと思ってる…』
!!!
#すごいよ
#また当たってる
フゥゥ…フゥゥ…フゥゥゥゥゥ…
おじいさんは、さらにもう三回
ボクの顔に息をふきかけた。
『じゃのに…
キミのことばは、
こころの中でかき消えていく。
まるで、忘れていくように…』
おじいさんは、ボクをおろし
しっかりとボクの目を見ていった。
『わしの名は、桃次郎。
わしの桃を
キミにひとつ、授けようじょ』