(うさぎ)~第3章~ 第25話:ボク… 思い出せたよ!!!

短編つぶやき小説

(うさぎ)
~第3章~

25:ボク… 思い出せたよ!!!


 

「すべての生き物と、

話しができるようになりたい」

 

!!!

 

すごいっ!

そんな願いごとも叶えられるの?!!

 

おじいさんが提案してくれた

願いごとが、

ボクの心の中に

ストンと落ちていった。

 

色んな生き物たちと

話しができたら

もっと、楽しいのにな…

ボクは、ずっと

そう思っていたんだ。

 

・・・。

 

ボクは、

小さい頃に好きだった

絵本の話しを思い出そうとした。

 

ボクはそのお話しが大好きで、

かあさんに、

何度も何度も

絵本を読んでもらったんだ。

 

えーと…

あれは確か

こんなお話しだったような…

 

~~~~~

 

昔々、その昔…

森の小さな家に

優しいうさぎが、

一匹で暮らしていました。

うさぎには

家族も、友達もいませんでした。

 

ある日、うさぎが

切り株の上で昼寝をしていると

夢の中に

神様が出てきて

うさぎに、こう言いました。

 

『キミに、

本をプレゼントしよう。

好きなページを、読んでごらん』

 

昼寝から目が覚めると

うさぎの胸のうえに、

絵本が一冊置いてありました。

 

絵本には、

たくさんの

文字と絵が描いてありましたが

うさぎは、

文字が読めませんでした。

 

動物たちが

楽しそうに笑っている絵を見ていると、

うさぎは

しあわせな気持ちになりました。

 

毎日毎日、

うさぎは絵本を開いて、絵をながめました。

 

ある時、うさぎが

また、切り株の上で昼寝をしていると

夢の中に

神様が出てきて、こう言いました。

 

『本に描いてある

地図の場所に行ってごらん。

コトリに、着いていけば良い』

 

夢から目が覚めると、

ひざの上に、

青い小鳥がとまっていました。

 

青い小鳥は、

うさぎのあたまの上を

クルクルと飛びまわり、

うさぎに声をかけました。

 

『こんにちは、うさぎさん。

わたしは、コトリ。

お腹がすいたから、

なにか食べ物をくださいな』

 

うさぎは、

隠しておいた木の実を袋に入れて

コトリに全部、あげました。

 

うさぎは、

話せる相手がいることが

とても、嬉しかったのです。

 

~~~

 

地図の場所にたどり着くため、

うさぎとコトリの

長い旅がはじまりました。

 

旅の途中、

うさぎは気が付きました。

 

神様からもらった

絵本の1ページ1ページが、

違った言語で書かれていることに…

 

うさぎは、

違う生き物との

出会いがあるごとに、

勇気をだして、声をかけ続けました。

 

優しい生き物もいれば、

恐ろしい生き物もいました。

 

嬉しいこと、楽しいこと、

悲しいこと、苦しいこと…

 

先が見えなくて

毎日、

何が起こるか分からない日々…

 

それでも、うさぎは

本のすべてのページの意味を理解するまで、

声をかけることを諦めませんでした。

 

苦楽をともにするうち、

うさぎとコトリの間に

温かな友情が芽生え、

様々な生き物たちとの出会いが広がりました。

 

うさぎは

この世界が、

とても広いことを知りました。

 

うさぎが、

絵本に描いてある

すべてのページを理解できた、ある日のこと

 

コトリの姿が

絵本に吸いこまれるように、消えていきました。

 

そして、

今まで描かれてなかった

絵本の最後の1ページが、浮かび上がりました。

 

そのページには、

コトリの絵と一緒に、

こう書いてありました。

 

『うさぎさんへ

 

ことばは

誰かの生きるチカラになる、大切なもの。

 

この絵本は、

もう少し後の

キミが描いたものです。

 

キミと、出会えて良かった。

キミとの思い出は、わたしの宝物です。

ボク達の思い出を、

キミが、

描いて残してくれたから

キミとずっと一緒にいられるよ。

ありがとう。

コトリより  』

 

~~~~~

 

絵本を読む、かあさんの

優しい声が

聞こえた気がした。

 

!!!!!

 

すごいよ、かあさん!

ボク…

忘れずに、思い出せたよ!!!

 


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