(うさぎ)
~第3章~
第22話:この桃を授けようじょ。
恋の…なれそめ…
とにかく早く、話さなきゃっ!
ボクは、ぎゅっと目をつむった。
闇うさぎくんの口から
チモシーを取り返せなくて…
ボク、悲しくなって
泣いちゃったんです…
だって、ボク
あの時、
かあさんを思い出しながら
チモシー、作ってて…
かあさんとよく
こうやって
お庭で一緒に干したなあって
思い出したくて!
思い出すと、ボク
かあさんと
一緒にいられるような気持ちになるから…
だから
闇うさぎくんに
返してもらえなくて
かあさんとの思い出が
なくなっちゃうような気持ちになって
ボク、悲しかったんです…
!!
(あ…)
(また涙がでちゃった)
(すぐに)
(泣いちゃいけないのに…)
ボクは、涙を肉球でこすった。
#涙とまれっ
#涙とまれっ
その時、
おじいさんの声がした。
『約束じゃからの。
キミに、この桃を授けようじょ』
?!!
目を開くと、
おじいさんが、ボクに
大きな桃を手渡してくれていた。