たぬきち、ぽん太郎、ボクの夏休みの思い出⑯

短編つぶやき小説

(うさぎ)
第3.3章 

たぬきち、ぽん太郎、ボクの夏休みの思い出⑯


 

『オラ、たぬきちだべっ!

ぽん太郎ぐ~ん!あそびに来たど~!!』

 

たぬきちさんはボクに、嬉しそうに耳打ちをした。

 

(ぽん太郎は)

(遊ぼうって言うど)

(出てくるんだべ)

 

・・・。

返事がなかった。

 

?!!

 

『あんれぇ?!

ぽん太郎、いねえべか??』

 

!!!!!!

 

たぬきちさんは、

とび出た竹に口をつけると

もっと大きな声で叫んだ。

 

『ぽん太郎ぐ~ん!

オラ、おめえと遊びたぐっで…!

お土産も、いっぺえ持ってきたど~!!!』

 

!!

たぬきちさんは、竹の中を覗きこんだ。

 

!!!!!

たぬきちさんの背中が、ビクッと反り返った。

 

『いだべ…

こっぢ、見てる』

 

たぬきちさんは、また叫んだ。

 

『ぽん太郎ぐん!

そんなとこで覗いてないで、ドアを開けてぐれ~!』

 

たぬきちさんは、竹の中を覗きこみながら

大きな声で話し始めた。

 

『今日は、ちっこい仲間も連れて来たど。

こいつはうさぎで、名前はつぶやきぃ~。

一匹暮らしだって言うもんだかんら!』

 

そう言うと、たぬきちさんはボクを持ち上げて

竹の穴の前にボクの顔を近づけた。

 

!!

たぬきちさんは、

またすぐに、竹の中を覗きこんだ。

 

『ぽん太郎ぐん、見えたべな?

つぶやきぃは、ちっこかったべ?!

怪しいやつじゃねえがらよぉ

このドア開けたら、もっと顔が見えっから

ほれ、ここを空けてくでぇ~』

 

・・・。

 

!! !! !!

たぬきちさんはドアを叩いた。

 

・・・。

 

返事はなかった。

 

たぬきちさんは、

困った顔で頭をかいた。

 

『こりゃあ、かなり警戒中だべな』


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