《闇うさぎ・朝のあいさつ 》9月4日

≪朝のあいさつ≫

(闇うさぎ)
第4.4章 【仮題:時空の◯◯◯◯ ~仲間たちの日記~(秋)】

《闇うさぎ・朝のあいさつ》94


 

おす! 元気か!

週末なのに、

オレは今日も穴を掘り続けていた。

 

♪〜

キミのなみだグァ〜 こぼれすぎちゃっティ〜

なみだのお池にぃ〜 なりま〜し〜グァァァ〜

ゲロッゲロッゲロ  ゲロゲッロー

 

キミのなみだグァ~  こぼれすぎちゃっティ~

なみだのお池グァ~  あふれ~て~クゥゥゥ~

ゲロッゲロッゲロ  ゲロゲッロー

 

!!!

なんだこの歌は!

ノリが良いじゃねえか!!

 

オレも、

マスターの歌のリズムに合わせて穴を掘った。

 

#ガシュッガシュッガシュ
#ガシュガッシュッ

#ガシュッガシュッガシュ
#ガシュガッシュッ

 

やっぱ、カラオケがあると作業がはかどるな!!!

 

ーーーーーー

〜前回の回想シーン〜

 

オレ達は、

隣のばばあん家の庭から地上に出た。

 

#ピョンコピョンコ

#シュタタタタッ

 

そこから、歩くこと約5分…

 

!!!

 

T字路の角の電柱に、

「たばこ屋さん」の看板を見つけた。

 

看板には、

縦置きの煙草の絵が

電柱サイズでデカデカと描かれてあり、

絵の横には

「デカくなれ!」と書いてあった。

 

マスターは、得意げに言った。

 

『この看板は、

たばこ屋のおっちゃんグァ

電柱に登りながら描いたゲロゲ!』

 

#ぴょんこぴょんこ

#シュタタタタッ

 

T字路を左に曲がると、

またデカデカとした看板が

電柱の上まで高く、針金でくくりつけられていた。

 

『燃えつきろ!』

 

文字の横には、

短くなった煙草の絵…

そして、

煙草の先っちょには

爆発したような炎と

黒煙が高くあがっている絵が描かれていた…

 

!!!

 

#なんだ

#これはっ

 

マスターが得意げに言った。

 

『あそこグァ、たばこ屋さんゲロゲ!

郵便ポストも、おっちゃんが作ったんだっグェ』

 

マスターが指さした先に、赤い郵便ポストが見えた。

 

#ぴょんこぴょんこ

#シュタタタタッ

 

!!!!!

 

ここが、たばこ屋さんか…

 

たばこ屋さんの真前には、郵便ポストがあり

ポストの上には、デカい看板がくくりつけてあった。

 

「世界に羽ばたくたばこ屋さん」

 

看板はデカイのに、

たばこ屋さんはボロくて小さな店だった…

 

『おっちゃん、元気にしてるクァな〜』

 

#ガラガラガラッ

マスターが店のドアを開けると、

 

??!

 

店の中は、けむりで真っ白だった。

 

#ゲホッ

#ゴホッゴホッ

 

『おっちゃん!ボク、ゲロッ!

けんいちグァッ!!』

 

!!!!

 

『おっちゃん、いるゲロゲ?!

けむりで全然、見えないグァ』

 

『窓、あけるゲロゲッ!』

 

#ガラガラガラッ

 

?!!

霧が晴れていくように、少しずつまわりが見えてきた。

 

散らかった部屋…

敷かれたままの布団…

布団からむきだした足…

ころがった酒の一升瓶…

吸い殻…吸い殻…吸い殻…

 

赤ら顔のカエルが、のそのそと布団から起き上がった。

 

『せっかくの暗幕を…消しよってからに…』

 

#シュポッ

 

そして、

煙草をくわえて火をつけた。

 

『けんいちクァ…!

久しぶりゲロゲ。

おめえ、デカくなったか?』

 

!!!!

 

『ボク!

学校の番長は卒業して、

喫茶店のマスターになったんグァッ!

色んな動物達グァやってくる…

インターナショナルな喫茶店!』

 

赤ら顔のカエルは言った。

 

『けんいち。

おめえは、もっとデカくなれるグァ!

おっちゃんみたいに、

世界に羽ばたく、デカい男になるゲロゲ!』

 

!!!!!!!

 

そこからおっちゃんの、

長い、自慢話しがはじまった。

 


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