(闇うさぎ)
第4.4章 【仮題:時空の◯◯◯◯ ~仲間たちの日記~(秋)】
《闇うさぎ・朝のあいさつ》9月4日
おす! 元気か!
週末なのに、
オレは今日も穴を掘り続けていた。
♪〜
キミのなみだグァ〜 こぼれすぎちゃっティ〜
なみだのお池にぃ〜 なりま〜し〜グァァァ〜
ゲロッゲロッゲロ ゲロゲッロー
キミのなみだグァ~ こぼれすぎちゃっティ~
なみだのお池グァ~ あふれ~て~クゥゥゥ~
ゲロッゲロッゲロ ゲロゲッロー
!!!
なんだこの歌は!
ノリが良いじゃねえか!!
オレも、
マスターの歌のリズムに合わせて穴を掘った。
#ガシュッガシュッガシュ
#ガシュガッシュッ
#ガシュッガシュッガシュ
#ガシュガッシュッ
やっぱ、カラオケがあると作業がはかどるな!!!
ーーーーーー
〜前回の回想シーン〜
オレ達は、
隣のばばあん家の庭から地上に出た。
#ピョンコピョンコ
#シュタタタタッ
そこから、歩くこと約5分…
!!!
T字路の角の電柱に、
「たばこ屋さん」の看板を見つけた。
看板には、
縦置きの煙草の絵が
電柱サイズでデカデカと描かれてあり、
絵の横には
「デカくなれ!」と書いてあった。
マスターは、得意げに言った。
『この看板は、
たばこ屋のおっちゃんグァ
電柱に登りながら描いたゲロゲ!』
#ぴょんこぴょんこ
#シュタタタタッ
T字路を左に曲がると、
またデカデカとした看板が
電柱の上まで高く、針金でくくりつけられていた。
『燃えつきろ!』
文字の横には、
短くなった煙草の絵…
そして、
煙草の先っちょには
爆発したような炎と
黒煙が高くあがっている絵が描かれていた…
!!!
#なんだ
#これはっ
マスターが得意げに言った。
『あそこグァ、たばこ屋さんゲロゲ!
郵便ポストも、おっちゃんが作ったんだっグェ』
マスターが指さした先に、赤い郵便ポストが見えた。
#ぴょんこぴょんこ
#シュタタタタッ
!!!!!
ここが、たばこ屋さんか…
たばこ屋さんの真前には、郵便ポストがあり
ポストの上には、デカい看板がくくりつけてあった。
「世界に羽ばたくたばこ屋さん」
看板はデカイのに、
たばこ屋さんはボロくて小さな店だった…
『おっちゃん、元気にしてるクァな〜』
#ガラガラガラッ
マスターが店のドアを開けると、
??!
店の中は、けむりで真っ白だった。
#ゲホッ
#ゴホッゴホッ
『おっちゃん!ボク、ゲロッ!
けんいちグァッ!!』
!!!!
『おっちゃん、いるゲロゲ?!
けむりで全然、見えないグァ』
『窓、あけるゲロゲッ!』
#ガラガラガラッ
?!!
霧が晴れていくように、少しずつまわりが見えてきた。
散らかった部屋…
敷かれたままの布団…
布団からむきだした足…
ころがった酒の一升瓶…
吸い殻…吸い殻…吸い殻…
赤ら顔のカエルが、のそのそと布団から起き上がった。
『せっかくの暗幕を…消しよってからに…』
#シュポッ
そして、
煙草をくわえて火をつけた。
『けんいちクァ…!
久しぶりゲロゲ。
おめえ、デカくなったか?』
!!!!
『ボク!
学校の番長は卒業して、
喫茶店のマスターになったんグァッ!
色んな動物達グァやってくる…
インターナショナルな喫茶店!』
赤ら顔のカエルは言った。
『けんいち。
おめえは、もっとデカくなれるグァ!
おっちゃんみたいに、
世界に羽ばたく、デカい男になるゲロゲ!』
!!!!!!!
そこからおっちゃんの、
長い、自慢話しがはじまった。