(闇うさぎ)
第3.3章 【仮題:時空の◯◯◯◯ ~うさぎたちの日記~(夏)】
《闇うさぎ・朝のあいさつ》7月12日
おす! 元気か!
パンダの野朗…
あいつは
まったくもって、分かっとらんな!!
アウトドアなら、
この、山ごもりのプロ!
オレ様に
何でもまかせておけば、良いものの!!
オレは週末、
家にある
ありったけのアウトドア道具を持って、店に行った。
(これを見せれば)
(絶対に)
(使いたくなるに決まってる!!)
ヘッドライトに懐中電灯、
テントに寝袋も持ってきてやったぜ!!
おめえよ!
夏の夜の醍醐味は
やっぱり、これよ!!!
バーベキューに、花火に肝試し!
そして、寝袋での星空観察…!!
#フゥ
こんなの、
楽しすぎるに決まってる!!!
『洞穴でおこった…本当に怖い話…
それは、ある晩のことでした…』
#ガッガッガッガッガッガッガッガッガッ
#ガッガッガッガッガッガッガッガッガッ
パンダが穴掘る横で、
オレが、
懐中電灯で顔面を照らし
怪談話を一つ披露してやっていると、
パンダが真顔で言った。
『ギター、悪い…
オレ、
夜には
家に帰らねえとまずいんだ』
#フッ
#おめえ
#怖いんだろう
パンダは、申し訳なさそうに言った。
『悪い…
まじで、そういうんじゃなくて。
家に帰らねえと
みんな、心配してっからよ』
!!!!!!
#なにぃぃぃいいいっ
#おめえ
#すげえ良い子じゃねえか
オレは、ヘッドライトで
ピカピカと、
パンダの顔を照らしてやった。
泊まれば、
これ、使えるんだぜ?!!
パンダは笑っていった。
『おう!
それ、すげえ良いな。
明日また、
昼間に貸してくれよ。
楽しみにしてっからよ』
そう言うと
パンダは、
日が暮れると同時に
いそいそと
家に帰っていった。