(闇うさぎ)
第2.2章 時空のゆがみ ~うさぎたちの日記(春)~
《闇うさぎ・朝のあいさつ》3月17日
おす! 元気か!
テラスの桜のつぼみが
少しずつ、ふくらんできた。
山の上よりも
こっちの方が早くに咲くかもしれねえ。
オレがビデオカメラで
桜のつぼみを撮影していると、
さるが木に登ってきやがった。
#キィィ
!!
なんだよ、こいつ…
ポーズ決めやがって…
撮せってのか??
ちょっとだけだぜ!
さくらのつぼみと、さる…
両方にピントを合わさねば!!
ズームでピントを合わせ、
ビデオで撮ってやった。
すると、木の下で
マスターが鳴いた。
#ゲロゲロゲ
!!!
マスターの野郎…
木の幹に足をひっかけ、
ポーズ決めてやがる!!
#しかたねえな
桜のつぼみと、さるとマスター。
3つにピントを合わせようとしたが
つぼみが、小さすぎて見えねえ。
ダメだわ!さる!!
マスターを抱えてよ、
木の上に登ってくれ!!
桜に近づいて撮らねえと!!
オレがそう言うと、
マスターは鳴いた。
#ゲロゲロゲッ
#ボクも
#のぼれますグァ
マスターは
一歩ずつ堂々と
木に登っていった。
#スタ
#スタタ
!!
マスターのやつ…木に登れるのか?
知らなかったぜ…!!
オレは舐め回すように
ビデオを回した。
#なかなか
#やりやがる
マスターは
さるのとなりに登りきり、
ポーズを決めた。
!!!
#その時
#風が吹いた
木に、しがみつくマスター
#ギュギュギュッ
・・・。
・・・。
#シュッ
#シュパッ
風で揺れた桜のつぼみを
マスターが、舌でからみとった。
!!!
#おいっ
#なんってことを