(闇うさぎ)
第2.2章 時空のゆがみ ~うさぎたちの日記(冬)~
《闇うさぎ・朝のあいさつ》2月5日
おす! 元気か!
音楽は良いものだな、ウンウン
たとえ、
言葉は通じなくても
音楽はこころを
通じ合わせてくれる。
昨日、お店のBGMを
『他言語音楽』に変えた途端…
さるが、
固定しておいたマイクを奪い、
2本のマイクを
両手で握りしめて歌いだした。
#きぃいぃい~
#きぃぃいぃい~~
!!!
店中にビリビリと…
ものすごい声量が響いた。
あいつ、
すげえ声が通る奴だな…!
それに…
オレほどじゃねえが、
けっこう
歌も上手いじゃねえか!
!!!
その時…
オレに、
天使のひらめきが舞い降りた!!
『開かれた…カラオケ店!!』
言語の壁も
店の壁もとっぱらい、
どんな生き物でも
もっと入りやすくすれば…
もっともっと、
客が増えるじゃねえか!!!
オレは急いで
ドアと窓をぶち開けた。
#オレに
#風が吹いた
オレの予想は的中した!!
1匹、2匹、3匹…
赤い顔した、さる達が
ぞろぞろと、
店の中に
入ってくるではないか…
#きぃぃ
#ききぃいい
まるで猿山のような、大盛況!!
!!
テラスにも…
カラスが7羽!!
#かぁぁ
#かかぁああ
!!
逃げないうちに、
注文をとらねば!!
!!!!
#しまった
#ことばが通じない