(闇うさぎ)
第2.2章 時空のゆがみ ~うさぎたちの日記(冬)~
《闇うさぎ・朝のあいさつ》2月24日
おす! 元気か!
オレは気遣いのできる、男うさぎ。
まあ気遣いは、
大人のたしなみってやつよ!
不本意ながら
店のみんなに心配かけちまったみてえだから、
お詫びのしるしに
何か持って行ってやるか!!
週末、オレは丘で
ふきのとうをたくさん採り、
店のドアにひっかけに行ってきた。
店に着くと、
パンダがテラスで転がっていた。
??
店、休みなのに
おめえ何してんだ??
パンダはオレに気がつくと、
ごろりごろりと近づいてきた。
!!!
パンダの両足が、
オレの首に絡みついた。
『オレは、ここが好きだからよ。
いつも、来てんだ』
!!
#くっ
#くるしい
『おめえも、暇なんだろ?』
パンダが言った。
!!
暇なわけあるもんか!!
オレは、山でみっちり修行を積んで
帰ってきたのだから。
ほれ、これみろ。
ふきのとう…いっぱいだろ?!
今朝は早起きして、
丘をかけずりまわって採ってきた。
みんなに、差し入れに来たのだから!
!!!
#くっ
ギリギリと首が締まる…
オレは、パンダの腹毛を
力一杯つかんでひっぱった。
『いででで』
おめえ、良い度胸だ。
おめえが離れるまで
腹毛、むしり取ってやる!!
!!!
!!!!
!!!!!
パンダが慌てて、
オレの首から離れた。
#オレの勝ちだな
パンダが、腹をさすった。
『山修行って、
何してきたんだ?』
・・・。
ほう…
こいつ、
オレに興味があるようだな。
暇な、こいつなら
話してやっても良いかもしれん…
オレは、教えてやった。
葉っぱを投げ、
風を自由自在に使いこなし、
敵に突き刺す修行だ。
カッコイイと思わないか!!
#パンダは首を傾けた
『敵って、誰だ?』
ハッ?
敵っていやあ、あれだろ…悪者だ。
正義の味方の反対の…
オレの説明を遮って、パンダは言った。
『おめえ、本当にバカだな。
でも、
オレはおめえが
けっこう好きだぜ。
見てると
ほっとねえっていうか…
我慢してる自分が
バカバカしく思えてくる』
それからパンダは、
カバンから何やら取り出した。
『これ、知ってるか?
この前、店に落ちてるのを拾ったんだ。
やぎ婆さんのところで売ってる
栄養クリーム…
オレの姉ちゃんも持ってるが
買うと、すげえ高いんだぜ。
これ…
たぶん、うさぽんのだな。
ちゃんと返してやれよ!
おめえがよ!!』
??!
うさぎくんの?
#パシッ
急に投げられて、
オレは思わず受け取ってしまった。