(闇うさぎ)
第2.2章 時空のゆがみ ~うさぎたちの日記(冬)~
《闇うさぎ・朝のあいさつ》12月15日
おす! 元気か?!
喫茶店で、パンダの様子をうかがってる…
やつは笹を食っては転がり…
ぶつかる衝撃で
マスターを何度もたたき起こし
たまに小声で歌ってる…
歌が…全然なってねぇ!
想いがこもってねえんだよ…
オレの方が、100億倍上手いから!!
#もっと
#気持ちこめて歌え
録音帽子には…いまんところ
たいした内容は入っていない。
長すぎる!!
あいつ、
ずっと押しっぱなしにしてただろう…
書き起こしなんて面倒かけやがって!!
肉球の毛が多いぐらい、なんだ!!
オレが、ひき抜いてやろうか!!!
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~~音声を書き起こした紙~~
ババアらしき声:
よく来たね、元気だったかい?
女の声:
やぎ婆さん、今日はよろしくお願いします。
ゴロゴロしてて暇そうだから、
弟も連れてきちゃった。
この子、なんだか頼りなくってね…
愛嬌はいいんだけど…
二匹でも大丈夫?
ババアの声:
二匹かい? もちろんいいとも。
弟?
ほう…顔がよく似てる!
でも、同時にはできないから
一匹ずつみるよ。
先にどちらから見ようか?
順番が来るまでは、
隣の部屋で、待っててもらうよ。
女の声:
じゃあ…
この子が先で、わたしは後で良いわ。
荷物だけここに、
置かせてもらってもいいかしら?
ババアの声:
置いてってもらって、かまわないよ。
じゃあ、あとで呼ぶから待っててね。
では…先にキミからはじめよう。
緊張しないでいい。
顔をよく、みせてごらん。