(闇うさぎ)
第2.2章 時空のゆがみ ~うさぎたちの日記(冬)~
《闇うさぎ・朝のあいさつ》1月25日
おす! 元気か!
まったく、この店は
手がかかる奴ばっかりで…
参っちまう!!
やっぱり、
オレがいねえと
みんな寂しがるだろう?!
だから、しかたねえ…
オレもいそがしいのだが…
うん、今日も店にいってやるわ!!!
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(回想シーン)
日曜日の昼過ぎ、
家の用事でオレは
喫茶店の前を通りがかった。
しんしんと雪降る中
店の前に、
パンダが一匹たたずんでいた。
あいつ…何やってんだ??
そう思って、近づいてみると
あいつは
雪をむしゃむしゃ食べていた。
『店は休みだぜ?
おめえ、何してんだ?』
アイツは答えなかった。
ちんたら…ちんたら…
アイツは口に雪を入れ続けた。
ほう…シカトとは…
良い度胸だ…!!
『これも食えよ』
オレは、雪玉を丸めて
パンダの口に押し込んでやった。
#ブブブブッ
アイツは、オレの顔に吐き出した。
『何すんだよ!!』
オレが言った瞬間…
あいつも雪玉を
オレの口にねじり込んだ…
#ブッ
#ブブブッ
パンダの鼻の穴に
口から吐き出した雪玉をねじり込んでいると…
あいつは
オレの両肩をつかみ、オレを持ち上げた。
そして…
積もった雪の上に
グイグイ…
オレの顔を押し付けた。
『うさぎの魚拓、いっちょ上がり〜』
うさぎの魚拓??
なんだそれ…
オレは、顔を押し付けられたまま
雪をガツガツと食べた。
そのまま両足で
パンダの首に絡みつくと、
もう一度パンダの鼻の穴に
口移しで雪をねじり込んだ…
『いてえ、いてえ…!!』
あいつはオレを振り落とした。
『うさぎの魚拓って…なんだよ!!
うさぎなのか? 魚なのか?
それともおめえ、バカなのか?』
オレがそう言ったら、
あいつが吹き出した。
#ブフフフ
パンダの鼻の穴にねじり込んだ雪玉が、一気に吹き出し
#がはははは
パンダは腹をかかえて笑った。
#あいつ
#こんな顔して笑うんだな
雪の中、汗だくになりながら
オレたちの戦いは
日が暮れるまで続いた。
雪食い競争では、パンダが勝ち…
カマクラのデカさ競争では、オレが勝った。
カマクラの中での
出ちゃダメ相撲は、最高に盛り上がった。
いつもゴロゴロしてるあいつが…
こんなに早く動けるなんて…オレは驚いた。
帰り際、あいつは言った。
『おまえ、面白え奴だな』
オレも、言ってやった。
『おまえも、そこそこ…面白いぜ。
オレ程じゃねえが!
でもよ、どうしていつも良い子ぶる?
つまんねえだろうに…』
#めんどくせえんだ
#色々とな
じゃーな!といったパンダの顔は
いつもの顔に戻っていた。