《うさぎ・朝のあいさつ 》9月2日

≪朝のあいさつ≫

(うさぎ)
第4.4章 【仮題:時空の◯◯◯◯ ~仲間たちの日記~(秋)】

《うさぎ・朝のあいさつ》92


 

おはよう。

今日は、コアラを連れて

パンダの洞穴に遊びに行った。

コアラは、とても嬉しそうだった。

ーーーーーーーー

〜前回の回想シーン〜

 

『おめえ…

こんなとこで、なに泣いてんだ?』

 

顔をあげると、

パンダが心配そうに、ボクの顔を覗き込んでいた。

 

『顔色が悪いな。

腹でも痛えのか?

オレの洞穴で休んでいけよ』

 

そう言うとパンダは、ボクの背中を押しながら

パンダの洞穴に連れて行ってくれた。

 

良かった、パンダがいて…

 

#やっぱり

#夢なんかじゃなかったよ

ボクは安心した。

バンダの手が温かかった。

 

『オレの洞穴には、たいしたもんはねえが』

 

!!

 

パンダは敷物を広げて、ボクを座らせてくれた。

 

『寝っ転がるなら、寝袋もあるぜ』

 

!!

 

パンダは、紙袋から寝袋を取りだした。

 

#モゾモゾ

 

寝袋の中に、ボクが足をつっこむと

パンダが、寝袋のチャックを閉めてくれた。

 

・・・。

#フゥ

 

寝袋の中は、

ふわふわで、とても温かかった。

 

パンダは地面にあぐらをかくと、静かにしゃべり出した。

 

『最近、オレんとこに遊びにくるやつらが

色々と置いていくんだわ。

その辺に置いてあるやつ、

みんな、オレんじゃねえんだが…

オレも使って良いんだと。

なんだか知らねえが、色々入ってるんだわ』

 

パンダはそう言いながら、

紙袋の中身を一つずつ取り出して、ボクに見せてくれた。

 

『こりゃあ、ギターのやつのだな。

懐中電灯だろ? ラジオだろ?

電池もいっぱい入ってんな…

こりゃあ、電動ドリルか?!

すげえっ

こわくて、こりゃあ使えねえな。

 

あとは、ヘッドライトか。

オレの頭にゃ、キツくて入らねえんだが…

 

花火とライターまで入ってるぜ??

夏ももう、終わりなのによ。

 

それと、

こっちの紙袋は

ゲロ美とゲコ子が置いてったやつか…

!!

すげえっ

いっぱい、お菓子が入ってやがる。

煎餅だろっ 飴だろっ こりゃあ、かりんとうか??

ポップコーンに…

ポテトチップもあるぜ?!!

 

それに、

紙皿に紙コップと…ビニール袋に輪ゴム

すげえ、タッパも4つも入ってやがる…!

!!

こりゃ、おたまか?

計量カップもあるぜっ

あいつ、何に使うつもりだ?!

 

あいつら、勝手にここに来やがって

ぺちゃくちゃうるせえんだわ。

帰りにゃ、色々勝手に置いていきやがって

オレ、もう意味わかんねえし。

紙袋、まだまだあるんだぜ…』

 

パンダは頭を掻きながら、洞穴の奥を指さした。

 

『あいつら朝はいたんだが、どっかに出かけたみてえだな。

ちょうど良かったわ、静かな時で。

たぶん、ギターの洞穴にでも遊びに行ったんだろ』

 

!!!!!!

 

そうだ!

思い出したぞっ

 

闇うさぎくんの洞穴の入り口が、

急に、なくなっちゃんたんだ!!

この前見た時は、確かにあったのに!

ボク、夢でも見たのかと思って

こわくなっちゃって…

それで…それで…

 

『うさぽん、お菓子食うか』

 

パンダが、寝袋のチャックを開けて

お菓子をボクに選ばせてくれた。

 

ポップコーンをかじりながら、

ボクの口はもう止まらなかった。

思い浮かんだことを全部、ボクはパンダに話した。

 

マスターが、トランプに乗って飛んでたんだ!!

コアラと確認に行ったら、飛んでなかったんだ!!!

それで、

いつも優しいコアラの顔が変わっちゃって

口は笑ってるのに、目が怒ってて…

それでねっ

マスターに話しを聞きたかったんだけど

走って逃げちゃって

洞穴の入り口までなくなっちゃって…

それでボク、急にこわくなったんだ。

みんな夢みたいに、

いなくなっちゃったんじゃないかって…』

 

パンダは、

手についたポップコーンの塩を舐めながら、ボクに言った。

 

『うさぽん、安心しろよ。

オレ達が、消えてなくなるわけねえし。

まあ、ギターの野郎は気まぐれだからよっ

洞穴の入り口の場所でも、変えただけじゃねえか?

 

それにしても、うさぽん

おめえ今まで、

すげえ大変だったんじゃねえか?

よく、ぶっとんだあいつについていけたな。

オレもどんだけ、びっくりさせられて来たことか…

まあよ、

面白えんだが、参る時もある…』

 

パンダはしきりに頷いた。

 

『でもよっ

コアラのこと

オレも実は、少し気になってたんだわ。

最近、食べる時以外は

オレらみんな、外に出ちまうだろ?

店でビーバーやあけみと、

仲良くやれてんのかなあって思っててよ。

 

うさぽん。

おめえ、今度

コアラ連れて、遊びにこいよ。

あいつにも、

オレの洞穴、案内してやるわ。

こんな道具でちまちま掘ってるが、

これでも、けっこう広くなったんだぜ』

 

パンダは口のまわりの塩を、ペロペロと舐めた。

 


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